2015-05-31

テント担いでいっぺんに歩いてきた!大峰奥駆道(吉野~熊野本宮) 5日目 21世紀の森-熊野本宮

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5日目の行程 21世紀の森-熊野本宮 CT10時間40分



この日も気持ちいい天気でのスタート。
同じ日に弥山小屋のテント場で朝を迎えた後輩は、八経ヶ岳から富士山を見ることが出来たらしい。
ゴールするのに相応しい、すごくいい日だな。

21世紀の森からまずは奥駆道へと戻るために、登っていく。
奥駆道に入ると林道沿いを通るために、旅の終わりを感じさせる。
もう山深いとこに居てる訳じゃないねんなと。
そして、車やったら一瞬で着くねんなぁ、とか考えてしまう。
思えば、100kmって距離は歩いたら大変やけど、
車やと、高速を使えば1時間で行けてしまう距離。
それを何日もかけて歩くって、めっちゃ贅沢な遊びやんな。
昔の人はこれを歩いて行ってた訳やねんから、ほんとすごい。

今の世の中、色々な所へ旅行するには簡単やけど
当時は一生の内に行ける場所は限られていて、色々な思いで旅をしてた訳か。

何日も山を歩いていると色々な事を考える。
この道を1300年前の人も歩いたんかぁ。
この木も見たんかな。
この岩を握ったんかな。と。

そして、熊野本宮に着いたら
昔の通り、川を渡って辿り着く姿をずっと想像してた。
昔は橋なんて無かったから、熊野川を渡って熊野本宮に辿り着いてた。
川で清めて熊野本宮に入ってたと。

無事に辿り着いて、それを体験して熊野本宮みたら泣いてまうかもな。
そんだけの旅やわ、これは。

看板を見て、歩いてきたルートを確認する。
この山旅も終盤だ。

世界遺産を歩きとおせる幸せ

そして、まだいい場所に居てるのは変わりない

玉置山山頂

ここまで順調。と言いたいところやけど、
実は直前にルートミスして林道に下りて行ってしまい大幅にタイムロス。
温泉に入ってから大阪に戻るためには、15時25分のバスに乗って湯ノ峰温泉に向かわないと行けない。
そして、このロスで時間的に厳しい感じに。

大阪に戻るのに計画していたのが、熊野本宮から紀伊田辺駅までバスで行き、JRで大阪方面に戻るってプラン。
ちなみに紀伊田辺から大阪市内の難波に戻るのは、
JR特急くろしお、高速バス、JR普通の3パターンを予定してて値段も早さも記述の順番になる。
どれを選択するかは好みと財布次第かな。

そして玉置神社の敷地内に。
神々しくてすごく雰囲気のある場所だった。
ここで、水を頂き、お神酒も少しいただいた。

一口だけやってんけども、疲れた身体に久々にアルコールを入れたから
めっちゃ効いた気がする。
何がすごいって、この後 1時間ぐらいペースが一気にアップした。

ちょっと遅れた分を取り戻そうという気持ちとアルコールの力。
そう、負の連鎖。
玉置神社から熊野本宮までは7時間ほど。
遅れた分を取り戻すなんてのはありえない。
ロングトレイルを攻略するコツはマイペース。
心拍数を上げずに歩き続けること。

なのに、なんでペースアップなんてしてもうたんやろう。

玉置神社から出てすぐの道は平たんなハイキング道。
この道なら、ペースアップして歩きとおせばあっという間に距離を稼げる。
もう人里に出てきたし旅も終わり。
まだ、温泉にはいるためのバスに間に合うかも。
あの時の思考回路はそんな安易な考えをしてしまったんだろう。
一口飲んだ、酒の効果もあったのかもしれない。

1時間も経ったころ、強烈な疲れに襲われた。
そしてすぐに、自分がしてしまった事に気づいた。

と、大げさに書いたけども、1時間程度ペースアップしてしまって、疲労物質を作ってしまったけども、
もう時期に熊野本宮。
ちょっと、長い目に休憩して、しっかり補給して完全回復。

いや、最後に油断してしまうとこやった。
反省、はんせい。

段々と標高も下がってきて、下界が近づいてくる

意外にきついと噂される大森山
マイペースでゆっくり歩けば問題なし
ロングトレイルでは、頑張らないのがコツ

目指す熊野本宮はもう少し

大鳥居が見えてる
この山の先がゴールだ

着いた!!
熊野本宮!

って、なんか違う。
これはただの山の公園や!
でも、もう、だいぶ下界だ!

七越の峰

もう、ほとんど着いてると油断するのはまだ早い!
その名の通り、ここから七つぐらい峰を越す。
最後のさいごまでUP,DOWNがあるって事。

でも、もう少しで熊野本宮だ。

もう、カウントダウン

河原に着いた!!

靴を脱ぎ、ズボンをまくる。
ついに、あの思いに描いた、熊野川を渡る瞬間だ。

ほんと、この瞬間をどれだけ 恋い焦がれたか。
水は冷たくて気持ちいい。
汚れた足が5日ぶりに清められる
水量は膝上ぐらい(あんがいあったな)
水圧も中々のもんだ。
水量多い時は危ないなコレw

渡り切った、サンダルに履き替え
観光客に混じる。
さぁ、熊野本宮までもう少し
俺は吉野から歩いてきた勇者だぞ!と、心の中でテンション上がる

大鳥居を横目に見ながら、熊野本宮を目指す。

着いた!
人生出発の地
熊野本宮大社

もう、感動して泣きそうや。
俺、髭ボーボーやし、服もずっと同じの来てるから臭いし
荷物でかいから
めっちゃ好奇な眼で見られてるけど、そんなの気にしない。
ここまで歩いてこれた感動はすごい。

コース的に厳しいとか、そんなんじゃなくて、
歩いて熊野本宮に来たかった、で、それが達成した時の瞬間を考えながら歩いていた。
それが叶った瞬間っていう嬉しさ。
なんて贅沢な旅なんやろう。

そして熊野本宮への参拝
奥まで行き、神様に旅の御礼と報告をし、その場でたたずむ。
昔の人とシンクロ気分で、達成感に浸る。

いや、ほんまいい山行やった。
なんか、すべてに感謝やな。

神様の存在を感じれる、いい山行やった。

それにしても、大鳥居さんめっちゃでかくて かっこいいな

もう、温泉に行く時間はないけど(ほんまギリギリバスを逃した)ええ体験できた。
のんびり次のバスまで、観光するとしよう。
ただ、5日間 風呂に入ってないまま帰るのはヤバイから
綺麗な服に着替え、全身を汗拭きシートでさっぱり綺麗にした。

で、さっきにも出た帰路ルートやけど、
特急と高速バスやと、自宅に帰るまでに繁華街の駅を通ることになるから、
この漫画に出てくるような、「下山後の登山部の先輩」スタイルではちょっと気を使うので、
普通電車でのんびり地元の駅を目指すことにした。

バス停でバスを待つ間に豚キムチ弁当とビール
もうビールが最高にうますぎた!

ちなみに紀伊田辺駅行きの最終バスは16時45分。
その1本前のバスが前述した15時25分。
温泉地は少し離れてる為に、温泉に入る為には15時25分のバスに乗る必要がある。
タクシーが居てたらなぁ、と思ったけど いなかった。

おめでとう!俺!

そして、天一大盛り

自宅に帰ってから、まずはお風呂。
この大峰奥駆道、今までまとまった休みがあったら日本アルプスのテン泊縦走とかしてたけど、
それに匹敵するぐらいのすばらしい縦走路だった。
歴史を感じながら、色々なものに感謝しながら歩く山旅ってのもいいもんやな。

ほんと、最高の山行でした。


今回の山旅で余った食材
まだ3日~4日ほどはいけるな

後輩から送られてきた。八経ヶ岳からの富士山
ほんと、うらやましい限りだ。




























テント担いでいっぺんに歩いてきた!大峰奥駆道(吉野~熊野本宮) 4日目 天狗の稽古場-21世紀の森

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4日目の行程 天狗の稽古場-21世紀の森 CT12時間


風はまだ強いけど、雨は止んでいる。
大雨のおかげですごく綺麗な空



ほんま、昨夜の嵐がうそみたい。
天狗が修行するのは、夜だけやねんな。
夜行性ってことか。


今日も、気持ちいいスタート
空気がひんやりとして、カラっとした気持ちいい朝。
最高の山日和やん。

そして、今日も 登ったり、下ったりして縦走を続けていく

そうこうしてたらあっという間に持経ノ宿に到着。
なんか、林道があったりとかで、山深い所から、人里に近づいてきた気がする。
持経ノ宿では水場から汲んできた水がポリタンクに入っていて、この水使ってもいいよと言われ、ありがたく1リットルほど頂戴する。



行山岳山頂ではNHKのアンテナ工事をしていて、人がたくさん。
なんか、ちょっとだけ旅が終わった気がする。

当初の予定では、4日目のゴールは行仙宿山小屋付近まで。

でも、このペースやと、もうちょっと先まで行けそうや。
そんなわけで、、登りがきついと噂の笠捨山を目指す。
なるほど、中々着かへんな。
けっこう登らせる。
でも、危険個所もなく、足を動かしてたら着くので、そんな苦ではない。
それに、登りは得意やし。

笠捨山山頂に到着。
これって謎解き????
色々と不思議やー

あの向こうから歩いてきてんねんなぁ~

もう、ゴールの方が近い。
全長100kmのコースやから、もう3/4歩いてるやん。
なんか、元気出た。

テント適地マークがある葛川辻まで到着。
まだ時間も早いし、
大きな出来立ての糞と、4足動物の肉球の足跡があるから、もうちょい先に進もう。
目指す目的地を21世紀の森に上方修正する。

槍ヶ岳、地蔵岳は岩と鎖の楽しい場所。
のんびり歩いてきた気持ちを、今一度 引き締めさせてくれる。

鎖場

今まで、色々な道を歩いてんけど、
地図上(山と高原地図)で破線の所に行くときは、いつも緊張する。
めっちゃ、怖いところやったらどうしようとか。
実際に行ってみて歩いてみたら、どこが危険個所か、わからんうちに終わってまうねんけど。
まぁ。そんだけ注意深く、準備が必要って話。

地蔵岳を過ぎたら、のんびりハイキング

目指す21世紀の森はここを降りたらすぐ。

国道に出てすぐにある、公園管理の水場
若干、消毒の味がする、水道水?って感じの水。
下界の管理された水(と、思う)。
枯れる心配はないだろう。

登山口にテントを張り、4日目の行程終了。
予定より1日早く、明日には熊野本宮に到着出来そうや。
今日もいい山行やった。











テント担いでいっぺんに歩いてきた!大峰奥駆道(吉野~熊野本宮) 3日目 行者還小屋-天狗の稽古場

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3日目の行程 行者還小屋-天狗の稽古場 CT12時間

今日は4時半から行動開始。
もうこの時間になると、日の出前といえヘッドライトがいらないぐらい十分に明るい。
天気もいいし、絶好の山行日和。
陽が昇る前の最高の時間

最高の一日の始まり

朝日を受ける木々

オオヤマレンゲ

あっという間に陽が昇る

今日のルートはまず、近畿最高峰の八経ヶ岳を目指す。
奥駆出合からは歩きなれた定番ルート。
長い一日になりそうなんで、ゆっくりペースで高度を稼ぐ。
それにしても、暑い。


弥山小屋が見えてきた。
雲一つない、きれいな空

せっかくなんで、ここでコーラーを頂く。

いつもの立ち枯れたち

この山旅の最高地点に到着


八経ヶ岳からの眺望
水晶谷の吸い込まれそうな感じが美しい


八経ヶ岳の次は釈迦ヶ岳を目指す。
木の根っこかと思ったら、にょろやん。

バイケイソウがいっぱい。
この縦走路は大峰の色々な表情が見れてすごい楽しい。
アルプスにも決して負けていない。
森林限界は越えないけど、その分 気持ちいい森歩きが続く。

楊子ノ宿小屋
水場は確認しに行ってない。

鳥の水
前日までの雨のおかげか、たっぷり冷たくておいしい水が流れていた。
30秒もしないうちに1リットル水筒が満タンになるぐらい。

これはかっこいい。
やっぱ大峰はすごい!

八経ヶ岳から釈迦ヶ岳の間は見どころがいっぱい

鎖場もあって

キレットっぽい雰囲気もあって

ほんと、どこの山域を歩いてるんだっけ。と思ってしまうほど。

そして、もうすぐ釈迦が岳

3週間ぶり?の釈迦ヶ岳
この前 来た時、この辺で携帯の電波(ソフトバンク)がつながるのを確認してたんで、
ここで電源を入れて、補給タイム。

水量たっぷりの隠し水。
この水もうまい。

本日の目的地の深仙小屋
ここでテントを張ろうと思っていたけど、まだ時間が早い。
もうちょっとだけ歩こう。

ここから先は 南奥駆
ってことは、半分は来たんかな
ここからは後半戦やな。

それにしてもいい天気や。
ところにより、悪くなるみたいな予報やけど、行動中はもちそうや。

天狗の稽古場に到着

平坦な草地で気持ち位場所。
すぐそばにはヌタ場もあるから、動物たちもよく来るんやろうな。
地図にもクマ・カモシカって書いてあるし。

そして
ここに到着したぐらいから、嫌な雲が流れてきた。風も出てきてちょっと荒れそうな予感。
無理な行動はやめて、
この辺の安全そうな場所でビバーグすることに。

早い目にご飯を食べて、テントに潜り込む。

陽が落ち始めて、まだ早い時間に
頭の上の方の先で、ドスっと重い足音がなる。
テントで寝てる時って、ほんま足音がよく聞こえる。

「おっと」これはデカイ生き物やん。
とりあえず、ラジオを付けて、鍋をガチャガチャして、アピール。
たまにガチャガチャ金属音を鳴らしながら寝袋で就寝タイム。

0時ごろ激しい雨で目が覚める。
テントをバシバシと叩きつける大雨。
明日もいい天気の予報やし、テント撤収までにやんでくれたらいいなと思いながら寝る。

風も強く、テントがひしゃげて、テントの側面が体の上に乗ってくる。
寝てられへんぐらいの雨風。
でも、テントの中は快適。

天気予報でも聞こうかとラジオをつける。

しばらくすると、遠くの方で雷がゴロゴロと鳴りだした。
少しづつ近づいてくる雷。

ラジオにノイズが走ったら、空が光る、そして落ちる。
近づいてくる雷。
ラジオにノイズが走るたびに、心臓がバクってなる。
ノイズがなった瞬間に空が光り、即座にガラガッシャーンとすぐ近くに落ちる。

もう、生きた心地がしない。
ここに落ちたら終わりやん。

ラジオのノイズが走るたびに、心臓がバクバクするから電源をきる。
この状態で、雷が来るタイミングがわかっても仕方がない。

近くの高い木から保安距離を取って、テントを張ったけども
その距離が適切やったんかどうかめっちゃ不安になってくる。
もう、神様の存在を信じて、自分の運も信じるしかない。

永遠に続くんちゃうかなと思った、長い時間が経過したあと、雷の音が東の方へ抜けていった。
雨もおさまってきた。

なんか、わからんけど、助かったな。
生きてるって事に感謝やな。

この晩の天気は
今風に言えば、
寒気が入り込んだことにより大気が不安定になり、強い風を伴う雷雨になった。で片付くんやろうけども、

この場所は「天狗の稽古場」
一晩中、2匹の天狗が暴れまわっていて。
風を起し、雨を降らせ、雷を生んだ。

昔から、そんな場所やったから、こんな名前がついたんやろう。
全部、俺の想像やけども。
それにしても恐ろしい夜やった。